仙丈ヶ岳  (霧ヶ峰車山より撮影)

                       


                          

山行No 038
山行日 1997年08月09日(土)〜10日(日)
天候
気温 仙丈ヶ岳8℃
日ノ出 04:55
日ノ入 18:38
最大標高差 1002m (北沢峠2030m→仙丈ヶ岳3032m)
コースタイム 190分 240分
山で会った人 多数
メンバー 兄・テラさん

2030m 北沢峠 9:35
↓ 120分 138分
2520m 大滝ノ頭 11:53 12:15
↓ 70分 60分
2800m 馬ノ背ヒュッテ 13:15
(泊)
2800m 馬ノ背ヒュッテ 4:53
↓ 80分 97分
3032m 仙丈ヶ岳 6:30 6:45
↓ 40分 85分
2864m 小仙丈ヶ岳 8:10 8:15
↓ 40分 22分
2520m 大滝ノ頭 8:37 8:50
↓ 80分 75分
2030m 北沢峠 10:05

                       

中央自動車道甲府昭和ICを降りたら国道20号線を韮崎方面へ。
2つ目の立体道路の下にある交差点(たぶん竜王立体)を左折して芦安方面へ。
釜無川を渡り、八田村を過ぎて白根町に入ると、のT字路をとなり、これを右折します。
すぐに旭入口で左折して芦安温泉方面へ向かう。
芦安温泉街を過ぎ、夜叉神トンネルを越えてどんどん林道を進んでいくと、やがて広河原となります。


                    

広河原にかなりの台数が止められます。(無料)
しかしハイシーズンになると、駐車場も一杯になるので、早目に到着した方がいいです。
広河原から先は通年交通規制により進入禁止なので、広河原に車を止めて、バスで北沢峠へ行きます。


                               

芦安温泉 白峰会館
山梨県中巨摩郡芦安村芦倉1570
TEL:055−288−2551
駐車場:50台
営業時間9時〜17時30分
入浴料:550円
泉質:単純温泉
種類:大浴場
コメント:展望風呂があると聞いて期待したけど・・・
オススメ度:


                            

出発前
いよいよ私も3000m級の山に登るとことになった。それも初めての山小屋経験付きで少々緊張しながら準備をしていると、あれもこれもでザックがどんどん重くなり、これを担いで登って行けるだろうかと不安になる。

北沢峠〜大滝ノ頭
 いつものメンバーで登山口である北沢峠へ向かう。広河原〜北沢峠の区間はマイカー通行禁止なので、広河原にて車を止めてバスに乗り換えなくてはならない。夜半にたくさんの車が止まっている広河原に到着して朝まで仮眠を摂る。朝になると雨が降っており、台風接近の影響も考えられたが、山小屋の人の話しでは影響は無いとの事なので(アテにならない)、いずれ止むだろうと北沢峠行きのバスに乗り込んだ。山間の道をバスに揺られながら進んでいくと、甲斐駒や仙丈ヶ岳の登山口である北沢峠に9:25分に到着。いよいよ南アルプスだ。雨に備えた装備をしてイザ出発!樹林帯の中の道を重いザックを担いでジグザグに高度を上げて1合目、2合目と過ぎていく。2合目から勾配がきつくなり、3合目、4合目と雨に降られながら順調にペース良く登って、4合目から岩まじりの登山道を登っていくと森林限界の5合目である大滝ノ頭に到着した。

大滝ノ頭〜馬ノ背ヒュッテ
ここで美味しい昼食の予定だったけど、雨に降られているし、あと少し登ると今日泊まる山小屋に着くので、大滝ノ頭は休憩だけにして山小屋で昼食にしようと先へ進むことにする。大滝ノ頭からは急な坂道もなく高山植物が咲く気持ちの良い登山道で、藪沢と呼ばれるこの地帯は晴れていたらもっと楽しく歩けただろうが、カメラや手袋が雨に濡れ湿ってくるし、ザックの重みで肩が痛くなってくるし、天気を呪いたくなる。藪沢小屋の暖かそうな湯気を見送り、藪沢最大の水場である滝を横切ると、今日泊まる馬の背ヒュッテの大きな建物が見えてきた。

馬ノ背ヒュッテにて
これで雨に濡れずに済むとホッとしたが、入口で濡れた物を干さなければならないので、直ぐには中に入れない。玄関は先客の濡れた物で一杯になっていたが、用意した細引きで我々の物を吊して干した。そして受付を済ますと中に入って食堂で昼食に取りかかる。食堂にいる皆さんが見守る中、飯盒メシを炊いて食事にしていると、次々に登山者が入ってきて玄関は人で溢れてくる。これだけの人を泊めると今夜の寝床のスペースはかなり厳しい状態になるのではないか(これだけの人が寝る場所はあるのか?)。昼食を済ますと夕食の時間までは何もすることがないし、外は雨が降っているので、ただ小屋の中でゴロゴロして過ごしていたが、寝床の狭さは想像以上だ。小屋の人が宿泊者を整理すると、2畳に7人も寝るので1人分のスペースは30cmぐらい。それも頭と足を互い違いに寝るので隣の人の足が目の前にきてしまう(寝返りもうてない状況)。こんな状態を本で読んだことがあるが、まさか自分が体験するとは思っていなかった。雨が止んできたので外の空気を吸いに玄関の前でボーっとしていると、次々に登山者が小屋に入っていく。小屋はもうパンク寸前状態で、予約をしていない人は下の藪沢小屋へ回されていた(せっかくここまで登ってきたのに残念なことだ)。玄関はもの凄い数の雨具が干されて、我々の細引きまで他人の雨具で占領されてしまっている。今日の夕食はカレーライスで、他の登山者と目と鼻の先(前の人と頭がぶつかりそうになるくらい)で食事をしたら、TVで天気予報を見る。前線が南下して明日も雨ということで、みんなの口からため息が漏れる。夕食が済んでビールを飲んでいると、もう消灯時間になってしまった。まだ8時なので、とてもそんな時間に寝る事は出来ず、食堂で山小屋の人たちと差し入れた酒(これが結構重たかった)を飲みながら語り合った。それでも9時になると山小屋の人も寝てしまったので、寝床の人達を整理して寝られるスペースを作って目を瞑った。ギュウギュウ詰めの状態で眠れそうもない環境なのに、大きな鼾をかいて寝ているヤツがいるので尚更眠れない。悶々と夜を過ごして3:00に起床した。起きるとテラさんがいない!これだけの人の中を暗闇の中で捜すのは困難なので捜すのは後回しにして、みんなを起こさないように準備を始める。真っ暗の中で音を立てないように準備をするのは大変だ。ゴソゴソやっていると荷物置き場で毛布にくるまっているテラさんを発見!こんな所で寝ていたとは。何人かの人も起きだしてきて準備を始めだした。昨日物干しに使っていた細引きには山のように他の登山者の物がのっかり、自分の物を見つけるのに一苦労だ。だいたい準備が出来たら食堂で不味い弁当を食べた。冷えたご飯の上にタクアンと昆布と鰯の水煮がのってあるだけの弁当で1000円。まあ山の上だからしょうがないが、だけどもうちょっと営業努力してほしいものだ。

馬ノ背ヒュッテ〜仙丈ヶ岳
朝食を済ませるとまだ日の出前の薄暗い登山道を小雨の降る中、ヘッドライトの明かりを頼りに標高3032.7mの仙丈ヶ岳山頂目指して登り出す。昨日よりはザックが軽くなったので、心も軽くなる。小屋からひと登りすると稜線である馬ノ背に着く。さすが稜線に出ると強い風が吹いており、ゴーッという風音に身を構えて風をやり過ごす。日は昇ったようだがガスで真っ白になった登山道を登っていくと、最近読んだ小説の舞台となった非難小屋に着く。ここにもたくさんの人が折り重なるように寝ており、とても中に入れる状態じゃない。非難小屋から急登が続くようになるが、晴れていたらきっと素晴らしいカールを見ながらの登山だっただろう。グングン高度を稼いで行くと稜線の幅が狭くなってきたので、下から吹き上げてくる風に飛ばされそうで怖い。周期的に風の止むのを見計らいながらハイマツ伝いに登っていくと遂に念願の仙丈ヶ岳山頂に到着した。

仙丈ヶ岳〜小仙丈ヶ岳
真っ白で何も見えないが3032mの山頂に立てたことだけで嬉しくなってくる。私たちの他にも次々と登山者が登ってきて、お互いに写真を取り合ったりした。相変わらず雨混じりの風が強く、風上に顔を向けられないくらいで、ジッとしていると寒くなってくるので、しばらく休んだら下山を開始する。山頂から小仙丈ヶ岳へ向かう稜線は今回の行程で一番景色の良さそうなポイントだったけど、視界は10m位から先は真っ白で何も見えず本当に残念だ。景色が見えないだけなら命に関わらないが、もしこんな大きい山で道に迷ったりしたら死ぬかもしれないので、不安を2人に隠しながら小仙丈ヶ岳へ向かった。稜線は岩場のアップダウンが続き、慎重に踏み跡を外さないように進んでいくと、家族連れが岩場の下で道に迷っていた。家族を下に残して私一人が岩場に上がってみるとルートがあったので、下の家族に教えてあげる。更に登山道を進んでいくとガスの中に小仙丈ヶ岳の看板がうっすらと見え、狭い山頂に到着した。

小仙丈ヶ岳〜北沢峠
周りは真っ白で自分がどういう所に立っているのか分からないので、小休止したら再び下っていく。周りが見えず、ただ足下の登山道を外さないように黙々と下っていくと、昨日分かれた分岐点である大滝ノ頭まで降りてきた。ここまで景色を楽しむ場所が無かった為か、予定より早い到着になった。ここで昼食の予定だったけど悪天候の為中止し、予定より早いバスに乗り込もうと3人は樹林帯の登山道を下っていった。そして何処にそのパワーが残っていたのか、超ハイペースで登山道を駆け下りて、4合目、3合目をあっという間に通り過ぎて早くも2合目まで降りてきてしまった(明日はたぶん筋肉痛)。ここまで来ると雨は上がってガスも薄れてきた。2合目から更に樹林帯の中を下っていくと晴れ間も覗きだし、そしてやっと北沢峠まで降りてきた。しかし一生懸命降りてきたのにバスは行ってしまったばかりで、次のバスが来るまで1時間ほど峠にある小屋でコーヒーを飲んだりして時間を潰した。そしてバスが来ると皆さん雨に濡れた格好でバスに乗り込み、広河原へと帰っていった。帰りの温泉は芦安温泉の白峰会館に寄って2日分の疲れを癒してから家路に就いた。

下山後
 今回の山行はせっかくの3000mの山が雨によって満足のいく山行とはならなかった。しかし天候が悪かった分、色々な反省点も見つかった。まず今の登山靴は2日間の雨には耐えられない。今回は夏山登山だったから良かったが、冬山にあの靴は無理だ。また持ち物に名前を書かないと山小屋で間違われる危険性がある。現に兄のザックカバーが取られてしまった。そして初めての山小屋泊まりは多くの体験が得られた。人が異常に多かったけど、それで山小屋が嫌いになった訳ではない。むしろ貴重な体験ができて楽しかった方だ。また馬ノ背ヒュッテに天気が良い日に泊まって、きれいな仙丈ヶ岳を登ってみたい。