富士山 (三ツ峠より撮影)

                       


                          

山行No 115
山行日 2001年08月25日(土)
天候 晴れ
気温 新7合目6℃ 8合目5℃ 山頂12℃
日ノ出  5:01
日ノ入 18:33
最大標高差 1396m (五合目2386m→剣ヶ峯3776m)
コースタイム 440分
山で会った人 超多数
メンバー 単独行
2386m 新五合目 0:13
↓ 30分 19分
m 新六合目 0:32
↓ 30分  21分
2604m 六合目 0:53 0:54
↓ 30分 32分
2790m 新七合目 1:26 1:36
↓ 45分 45分
3030m 7合目 2:21 2:31
↓ 45分 40分
3220m 八合目 3:11 3:35
↓ 50分 42分
九合目 4:17 4:27
↓ 50分 32分
3550m 九合五勺 4:59 5:13
↓ 10分 47分
山頂部外周 6:00
↓ 10分 25分
3776m 剣ヶ峯 6:25 6:59
↓ 10分 16分
山頂部外周 7:15
↓ 25分 36分
3412m 八合目 7:51 8:03
↓ 40分 40分
3040m 七合目 8:43
↓ 20分 18分
分岐 9:01
↓ 25分 28分
御殿庭分岐 9:29 9:36
↓ 10分 11分
六合目 9:47 9:57
↓ 10分 10分
2386m 新五合目 10:07

                       

富士スカイラインをひたすら登っていくと、富士宮口の駐車場になる。


                    

富士宮口周辺の駐車場
富士山は全国から登山をしに人々がやってきます。
当然車の台数は他の山の比ではありません。
朝方に着いた場合、かなり下の方の駐車になるでしょう。


                               

山中湖温泉 紅富士の湯
所在地:山梨県南都留郡山中湖村山中865−776
TEL:0555−20−2700
駐車場:230台
営業時間10時〜21時
入浴料:700円
泉質:アルカリ性単純温泉
種類:大浴場(ジェットバス、気泡湯、寝湯、かぶり湯、源泉ぬる湯、
    ドライサウナ、ミストサウナ)、露天風呂
コメント:露天風呂は情緒があっていい。
オススメ度:


                            

出発
 ゴールデンウィークの山行からだいぶ経っての今回の山行は、何年も前から登ろうと思っては計画が流れていた日本一の富士山に登ることにする。最近は噴火活動の話題が出るようになってきたので、今のうちに登っておきたい(富士山噴火か?)。登山口は表登山道となる富士宮口として徹夜登山で山頂を目指そうと思うが、高山病が少々不安でもある。登山用品店で新商品の食べる酸素を購入し、準備が出来たら登山口となる富士宮口へ出発する。

富士宮口〜新6合目
11時、富士宮口に着いた時にはもう奥の駐車場は一杯で、係員の指示に従い、ちょっと下の駐車場に車を止めたらまずは腹ごしらえ。高山病に備えてしばらく休憩してから登ろうかと思っていたけど、皆さんは早々にヘッドランプを点けてぞろぞろと歩き出しているので、何となく気持ちが焦ってきてしまい、自分も用意をしたらヘッドランプを装着して登山口へと向かう。新5合目の売店裏にあるトイレに寄ったら富士宮口の登山口を午前013分に出発だ。山頂まで5時間もかかる長丁場なのでペースを思いっきり遅くして登り始める。真っ暗闇をライトで照らしながら登るとすぐに新6合目となるが、そのまま小屋の前を通過する。

新6合目〜8合目
新6合目を過ぎると登山道はジグザグに高度を上げ、振り返ると夜景がきれいに見えている。真っ暗闇でも高尾山並みに人はいるし、登山道にはロープが張られているので、暗闇でも道に迷うことなく登っていくことが出来る。
6合目、新7合目と順調に登ってきたが、標高3000mを越えたあたりから頭がボーとしているのに気づいた。なんだか酒に酔っているみたいで(これが高山病なのか?)、高度を上げるにつれて頭がフラフラしてくるが、山頂はまだまだ先なので気合を入れて一歩一歩高度を上げていく。しかし8合目に着く頃になると、フラフラで目も回ってきてしまった(しっかりしないと、真っ直ぐ歩けない程)。少し休憩をしようと8合目の小屋の前でザックを降ろして休憩する。

8合目〜9号5勺小屋
多くの人が休憩をしている8合目の小屋の前で、高山病には酸素が必要だと、ザックから食べる酸素をだして、その小さな錠剤を食べてみる。が、予想通り(?)酸素が供給された実感はなく、当然高山病もちっとも良くならない。自力で直すしかないと呼吸を整えながら、周りの景色(といっても真っ暗)を眺めていた。眼下には登山者のライトの明かりがジグザグにつながり、遠くに見える夜景もきれいだ。じっとしているとブルブル震えてくる寒さで、気温は5℃まで下がっている。ザックから出したフリースに包まって、しばらく休んだら再び登り始める。
8合目から先が富士登山の正念場といわれるだけに、さすがに立ち止まって一息を入れる回数が増えてくる。なるべく休まないようにゆっくり登っているのだが、酸素の薄さはどうしようもなく、フラフラになりながら高度をあげていく。登山道の脇には座り込んでいる人もいるし、反対に楽しそうにお喋りをしながら楽々と登っている人もいる。時刻も4時半も過ぎると東の方がやや明るくなりはじめ、今日の日の出は501分なので、もう直ぐ御来光となる。なんとか95勺小屋まで登ってきたら、ちょうど御来光の時間だ。

9号5勺小屋〜山頂
今日は天気が良さそうで、富士山の斜面が朝日で真っ赤に染まっていく。これを遠くから見ると富士山はモルゲンロートに染まっているのだろう。日が昇ったら今まで見えなかった富士山の山頂がもうすぐ上に見え、あとひと踏ん張りで山頂に立てる。山頂に行ったらすぐに下山をして高濃度の酸素を吸いたい!。陽がやや高くなると、西側にきれいな影富士が見えたけど、感動どころではなく、ズキンズキンと頭痛がしてきてしまった。もう気分は最悪となり、一歩を踏み出すのさえ辛くなってしまった。でもここで休んでいても一向に高山病は良くならないだろうと、気を振り絞って登っていく。白い鳥居を潜ったら浅間大社奥宮が見えてきた。たくさんの人が行き交って、ここは本当に標高が3700mなのかと目を疑いたくなるような光景が広がっている。小屋の脇を抜けると大きな富士山の火口が眼に入ってきた。

山頂にて
きれいな稜線を持つ美しい富士山にこんな荒々しい火口があるとは、まさに富士山は活火山なのだ。左手には白いドーム型のアンテナがある富士山測候所が狭い山頂に立っている。ここから距離にしたら僅かなのだけれども、フラフラの体には非常に遠く感じられたけど、あそこに立つのが最終目標なんだ、あそこに立ったら下山して酸素を一杯吸えるのだと気を奮い立たせて登り始める。すれ違った若い女の子の会話が耳に入ってきた。「酸素が薄いのはわかるけど、高山病ってどうなっちゃうの?」。・・・うらやましい。
滑りやすい火山岩の登山道を登って富士山測候所の敷地内に入ると、人の行列が出来ていた。どうやら山頂での写真撮影の行列らしく、自分も列に加わりストックで体を支えながら順番を待つ(さすがは日本一の富士山)。そしていよいよ自分の順番が回ってきた。ついに日本最高峰の富士山の頂点に立った!。今の気持ちをクマ妻に話したかったけど出掛ける前に「早朝から電話してこないでよ」と釘を刺されていたので一人で喜びを味わう。順番の後ろの人に写真を撮ってもらったら、測候所の建物の脇で休憩をする。さすがに3776mもあるとライターの火がなかなか点かないが、日本最高所でのタバコは格別な味がする。太陽の日差しが照りつけて朝方の寒さはなくなり、ポカポカ陽気となってきた。測候所の裏手にある展望台へ入ってみると、素晴らしい展望が開けていた。今まで下から仰ぎ見ていた南アルプスを上から見下ろし、遠くに八ヶ岳や奥秩父の山並みなどがグルリと見渡すことができる。これらの山々に登っている人は富士山を見ながら上っているのだろうと思うと、回りから注目されているようで、自分までが偉くなったような気がするから不思議なものだ。狭い展望台なので後から来た人に譲って、下山を開始する。

山頂〜8合目
馬の背を降りたら浅間大社奥院のそばにある小屋に入って、小屋の人に御殿場口へのルートから宝永火口を渡って富士宮口へ行くルートの状況を聞いてみる。もしこのルートが閉鎖になっていたら大変なことになるからだ。「宝永山のルートは通れると思うけど、8合目の小屋の人に確認して」との回答なので御殿場口へ下るルートへと向かう。富士宮口ルートとちょっとしか離れていないのに、御殿場口ルートは人が少なくて静かだ。登ってくる人も少なく、テンポ良く下っていくことが出来る。富士宮口ルートを下りに使ったら、すれ違いに時間をとられていただろうと思う。登山道は火山岩の砂利でクッションが効いて、どんどん高度を下げていけるけど、頭痛がひどいので、そう無理はできない。
8合目の休業中の小屋まで下ったら休憩する。

8合目〜7合目
頭はズキズキするし、目は回るはで、しばらく休んだら鎮痛剤の薬を飲む。これで頭痛は治まるだろうと立ち上がったら目がグルグルと回わり
(ヤバイ、ゲロ吐きそうだ!)、急いで小屋の裏に回って今飲んだばかりの鎮痛剤も一緒に吐いてしまった。山でゲロを吐くなんて初めての経験だ。もうこれは頑張って降りて治すしかないと油汗を流しながら下っていく。でも救われるのは天気の好さで、眼下に愛鷹山や金時山、山中湖の向こうに丹沢の山並みが見える。これで天気が悪かったら二度と富士山には登ろうとは思わないだろう。7合目の小屋まで下ったら宝永山はもう直ぐなので、一休みしたら再び登山道を下っていく。

7合目(砂走り)〜宝永火口
ここからの登山道は砂走りと呼ばれて、砂利の上を走って下ることができるので、自分も重力に逆らわずに駆け足で下ってみる。砂がクッションになり他の山では考えられないくらいのスピードで下っていく。これが爽快な気分にさせてくれて、高山病もスーッと消えていくようだ。降りていく自分を他の人が見たら、一人で笑いながら駆け下りていく危ない人だと思われるだろう。宝永山の分岐になると、富士宮口ルートと御殿場口ルートに分かれるが、御殿場口ルートはここからが本格的な砂走りとなるので、このまま砂走りを突っ走りたかったけど、砂走りはここまでとして、富士宮口へと向かうルートを進む。このルートも大きな宝永火口の中を下っていく楽しそうなルートだ。

宝永火口〜富士宮口
登山道は層の厚い火山岩の砂利で出来ているので、ここでも急斜面を走って下っていくとこができる。一歩で2mは稼ぎながら荒々しい宝永火口を駆け下り、火口の底まで下ったら御殿庭への分岐となる。ここまで下ったら高山病も治ってお腹が空いてきた。そういえば登山出発前に食べたおにぎりしかまだ食べていなかったのだから、お腹が空いて当然だ。しかしよくここまで飯も食わずにバテなかったものだ。御殿庭の分岐から見えている新6合目の小屋へ向かって上っていくと、突然携帯電話が鳴り出した。女房からの電話で久しぶりの登山(3ヶ月ぶり)でしかも徹夜登山なので心配になって電話をしたらしい。新6合目の小屋に着いたら富士宮口ルートに合流し、たくさんの人が山頂を目指して上っていく。見上げる登山道には数珠繋ぎに登山客が列を成して山頂へと伸びているのが見える。小屋の前で
250円のコーラを飲んで売店に入ってみると、小屋の人がキノコ茶を振舞ってくれたので、お返しにいつもの登山バッチを買った。この小屋からひと下りで新5合目に到着し、これで長かった富士登山も終了となる。高山病も良くなり、頭痛も殆ど弱まってくれたけど、自分が高山病にこんなに苦しむとは思わなかった。

反省
今回の山行は念願の富士山に登ることが出来た。山に詳しくない人でも富士山は知っているので、度々「富士山には登ったことある?」と聞かれていたので、これでようやく「ありますよ」と答えることが出来る。「富士山は見る山で登る山ではない」なんて言う人がいるけど、自分は決してそんなことはないと思う。確かに人は多いけど特別に富士山だけ多いわけでもないし、意外にゴミは落ちていないし、高山病さえ無かったらもう一度登りたい。その高山病だけど、確かに3000mを超えたあたりから体の調子が悪くなってしまった。これは北アルプスや南アルプスでも高山病になる可能性があるということだけど、今回の富士山のように自宅から一気に3776mまで登ったのが原因だと思うので、富士山以外の山はそんなに注意しなくてもいいだろう(と思う)。高山病にならないためには、5合目の駐車場で朝まで寝て高度順応をしてから山頂を目指す登り方が良いと思う。今では高山病という貴重な体験をさせてもらった富士山に逆に感謝の気持ちを持っている。またどこかの山で富士山を見たとき、今回の山行をきっと思い出すだろう。

富士山からの展望写真